なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

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 id:not0418さんからトラックバックをいただいたことをきっかけに、トラバを表示する設定にしてみました。
 いただいたトラックバックは、昨日言及した、修習生の不起訴処分に関するものでした。氏は、修習生というのは極めて規制が多い立場にあり、万一罷免された場合の生活は悲惨なものになるということを理由にあげ、捜査官が「飴と鞭」を使い分けて、「認めれば微罪処分にしてやる」などと甘言を弄し、虚偽の自白に追い込んだ可能性を指摘しておられます。
 なるほど、わが国の警察官は多くの場合、たいへん思い込みの強い連中ばかりですから、氏が指摘されたようなことをやるおそれは非常に高いわけです。いや、間違いなく、同じようなことを言ったのでしょう。
 ですが、それが警察のテクニックのひとつであり、そうやって自白を得て(いわば約束を反故にして送検し)、公判請求をされるというケースは、電車内での痴漢事件の件などをみるまでもなく、日常茶飯事的に行われていることです。そのこと自体を知らなかったというなら、甘言に乗せられてありもしないことをしゃべった、ということは納得できます。だが、日ごろからそういう捜査に親しんでいるはずの修習生が、あっさり虚偽自白をしてしまうというのは、にわかに信じがたいというのが率直な感想なんです。
 まして、この種の性犯罪に対する世の中の認識は極めて厳しくなっており、「認めれば微罪」というのが見え透いた嘘であることは容易にわかりそうなものだし、まして、微罪処分といえども無罪放免ではないのですから、いったん認めてしまえば、修習生をやめなければならなくなる可能性も十分にあるわけです。要するに、修習生という脆弱な身分にあるという点は、むしろ、是が非でも虚偽自白をしない、という方向に働くのではないか、と考えるのです。
 いずれにしても、修習生の弁護人が、真犯人を示す証拠を持っている、などとおっしゃるのであれば、今後の捜査の進展にも期待がもてるというわけで、今後の動向に注意をしておきましょう。