なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 仕入れ税額控除のこと

 昨日の最高裁判例は、消費税の仕入れ税額控除という制度に関するものだと思います(判決文そのものを読んでないので、推測ですが)。
 たとえば、文房具屋さんが、400円ではさみを仕入れたとします。それには税金が加算されて仕入価格は420円となります。
 さて、この文具屋さんは、このはさみを600円で小売りしたとします。消費者は、630円を支払いますね。では、この文房具屋さんは、いくらの消費税を納税するのでしょうか。
 正解は、10円です。というのは、お客さんから預かった額は30円ですが、仕入れの段階で20円の税金を支払っているので、結局、30円から仕入れにかかる税金を控除して、10円を納税すればよいのです。この制度を、「仕入れ税額控除」と呼びます。
 ところが、この計算を税務署に認めてもらうためには、どこからいくらの商品を仕入れ、それにいくらの消費税を支払ったのかということを、きちんと記録し、「帳簿及び請求書等」を保存しておく必要があるのです。逆に、こういった書類をきちんと保存しておかないと、30円の税金を丸々納めないといけません。10円ですんだものが30円と、一気に3倍になってしまいます。したがって、仕入れ税額控除制度を認めてもらえるか、そうでないか、というのは、事業者にとって死活問題というべき事態となるのです。
 長くなりそうなので、項を改めましょう。