なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 無期で仮釈放中また強盗殺人、男に死刑判決…広島高裁(読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20040423i311.htm

 判決などによると、西山被告は73年に山口県宇部市で起こした強盗殺人で無期懲役が確定、89年に仮釈放された。92年3月に仕事仲間の男(52)(無期懲役確定)と知人の広島県三原市の無職内藤ヤスノさん(当時87歳)を同県福山市の林道で絞殺、手提げバッグから3000円や預金通帳を奪うなどした。

こういう事実関係からすれば、死刑制度の存在を前提とする限り、高裁の判決もやむを得ないと思います。1度チャンスが与えられていながら、それを活かせなかったのは、やはり本人の責任が大といわざるを得ないでしょう。
注目すべきは、

 弁護側は差し戻し審で「計画性も低く、犯行には被告の生育環境や服役した刑務所の矯正能力の低さも影響した」と主張。

という点です。刑務所の問題はこの日記でも何度も指摘していますが、実際にこういう犯罪者が出てくるところを見ると、本人の責任論とは別の次元で、刑務所の矯正教育のあり方を真剣に見直す時期がきているのではないかと思います。
今の刑務所は、劣悪な環境ですので、「こんなところに2度とくるか」と思ってまじめになる受刑者には、それはそれで有効に働いています。ですが、こういってはアレですが、犯罪者というものは、もともと社会適合能力が低いひとたちですから、そういう決意で出所しても、また、アウトローとして生活し、犯罪に走ってしまうのです。こういう連鎖を断ち切るには、やはり刑務所での教育が不可欠ですし、そこでは彼らの人格を尊重してやる必要があるのではないかと思うのです。自らの人格を尊重してもらった者は、他人の人格を尊重するようになるのではないか、こう考えるのはちょっと理想論すぎますか?