なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 言論には言論を

ところで、ある言論で名誉を毀損されたという場合、すぐに裁判にしたり、刑事告訴したり、法務局や弁護士会に人権救済の申し立てをするケースがあります。
しかし、言論行為には表現の自由や正当な論評というものがありますから、裁判所や救済機関だって、そのことをひとまず重視するわけです。したがって、よほどひどいケースでなければ、第三者機関による救済はなかなかスムーズには進みません。相手に対する威嚇やコケオドシ、虚勢にこそなるかもしれませんが、なかなか実効性はないようです。
それよりも、巨大マスコミを相手にするというのであれば難しいんですが、被害を受けたという媒体がネットの書き込みであったりする場合には、自らネット上で積極的に相手の言論に反論を試みて、相手の誤解を解くとか、みずからの立場を具体的に明らかにするという方法をとるほうが、より効果的だと思います。なにがなんでも名誉棄損だ、損害賠償だ、刑事事件で捜索だというのでは、あまり社会の支持を得られないのではないかと思いますね。たとえば、山崎拓の件だって、文春に訴訟を起こす前に、積極的に会見を開き、自らの潔白を具体的事実を基に訴えればよかったのではないですか。それをせずに、「事実無根」とだけ叫んで裁判に持ち込むやり方に、国民というか選挙民は反発したのだと思いますけど。