中国での邦人死刑執行になぜ騒ぐのか
中国で邦人に死刑が執行された。たかが覚せい剤の密輸程度で死刑とは、とテレビはかまびすしい。
確かに、わが国では、覚せい剤では死刑になることはない。でも無期懲役ならありうる。テレビで騒いでいる人は、「死刑はだめだが無期ならいい」、というのだろうか。もしそうなら、なぜ、殺人罪の場合には、「死刑はだめだが無期ならいい」と言わないのか。なぜ、わが国で中国人に死刑を執行するのは許されて、中国で邦人に死刑が執行されるのが許されないのか。中国では適正な裁判が行われないとか、司法通訳がいい加減だとかいろんなことを言う人がいるが、では、わが国の刑事裁判はそんなに立派で適正なのか。通訳も間違いがないのか。そうであるなら、なぜ菅家さんは有罪になって、奥西さんは死刑判決を受けたのか。
そんなふうに考えていくと、結局は、死刑という制度自体がもつ矛盾に突き当たることになるのではないのだろうか。
極論するなら、わが国での死刑制度や死刑の執行に賛成する人に、中国での死刑執行に反対する資格はないと思う。