なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

長嶋有「ぼくは落ち着きがない」

ぼくは落ち着きがない

ぼくは落ち着きがない

 このところ、ミステリ以外の小説を読んでいませんでした。いくつかの書評や表紙のイラストに惹かれて、昨年の今ごろに買ったこの本。薄緑の表紙も鮮やかで、ずっと部屋に飾ったままいつも気になっていました。
 この連休中に読もうと思って手に取ったところ、緩やかな世界に引き込まれてしまい、ほぼ一気に読みました。この小説では、とある高校の図書部の部員に起きた春から秋にかけての出来事が語られています。もちろん、そこにはいろんな出来事が起きるのですが、とくに大きなストーリーがあるわけでもなく、結末も素敵なだけどあっさりしていて、その意味でも「落ち着き」の悪さが感じられます。それでもなお、ぼくはこの小説を高く評価したい。できれば同じ高校の同じ部員でありたかったとさえ思います。
 きっとこの感覚は、読み終えた人しか分からないし、読んだ人によっても受け止め方がいくつもあるんだろうと思います。小説の世界に久しぶりに浸れた連休でした。