なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

今日の裁判例(その10)

 大手百貨店が確定判決を得て債権を回収した後に、さらに債務者の預金を差し押さえた行為が不法行為に該当するとして、50万円の損害賠償が認められた事例。
 東京地裁平成20.5.28判例時報2023号109頁
(コメント)
 被告は高島屋です。
 ちなみにもともとの債権額は70万5008円。
 高島屋は、裁判に勝って相手方から上記金額の入金を受けていたのに、なぜかそれを見落としてしまい、相手方の銀行預金口座(6銀行7口座)の差押え手続きをしてしまったものです。相手方からの指摘を受け、直ちに差押えを取り下げ、銀行にお詫びに行ったりしたものの、それにより信用失墜が生じたものとして50万円の限度で損害賠償が認められました。なお、原告の主張損害額は1億円でした。
 さすがに1億円の損害賠償は高額すぎますが、50万円というのも安すぎるような気もします。もともとの債権額が70万円あまりであれば、少なくともそれと同額以上の損害を認めてあげてもいいような気がします。
 もっともこのへんのさじ加減は、裁判官によってかなり違うでしょうね・・・・。そもそもなぜ高島屋ともあろうところが、こうしたミスを犯したのかがなんとも不思議です。
 この事件、どうやら原告が納得せず、控訴されたようです。控訴審の判断も注目されます。