なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

罪を犯した人の更生を考える

 先週は、大津で開かれた近畿弁護士会連合会主催の人権擁護大会に行ってきました。
 近弁連だけは、全国版の人権擁護大会のほかに、弁連独自の人権大会も開いています。「近畿はひとつ」をキーワードに、全国的に見てもトップクラスのチームワークと、質の高い活動をしています。
 さて、その人権大会のテーマが「更生保護」。刑務所を出所したり、起訴猶予になったりして社会復帰をしたひとたちをどうサポートしていくかという問題です。以前から書いていることですが、これは(もと)受刑者本人のためであると同時に、社会全体のためでもあるのです。もっと社会全体が関心を持ち、これをサポートしていく体制が必要なんだと思います。以前、地域のつながりが強い社会のもとでは、社会復帰したひとも、帰るべき実家があったり、あるいはサポートしてくれる地縁や血縁がありました。それがどんどん希薄になっていき、最終的な姿として、現在の高い再犯率につながって行っているようです。核家族化や少子高齢化などで、もとの社会に戻れないとしたら、やはり社会全体でサポートする方向へ考えを変え、その予算も拡充していかないと、状況はどんどん悪くなるばかりだと思います。
 さて、「更生保護」って英語で何というのか調べてみたら、単にリハビリテーションというのですね。けが人などのリハビリと一緒にするわけではありませんが、英語的には、根っこは同じなのでしょう。一時的な過ちで罪を犯して刑に服した人に、リハビリの機会を与えて満足のいく状態にして社会に戻していく、そうした視点で更生保護を捉え直していく必要があることを、「リハビリテーション」という言葉が示しているように感じられます。
 この日記を読んでいる人の多くは、そうした更生保護行政とは無縁のところにいる人たちだと思いますが、たまにはそうした問題にも思いをはせてみてくださいね。