なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

裁判員の守秘義務とは・・・

 昨日の日記で触れたように、裁判員裁判での評議は、実は、裁判所が強引にやっているのではないかという危惧があります。今は実験段階で評議を公開しているし、弁護士会でも、裁判員役をやってくれた市民にアンケートをしていて、その実態が把握できるようなシステムになっています。逆に言えば、裁判所としても「評議を見られている」という緊張感があるはずなのに、それでも多少は強引なことをしてしまっているのが現状なのです。
 練習(模擬裁判)でこうなっているのですから、本番で評議がブラックボックスになってしまったら、いくら裁判官が強引なことをしようと、それを見張っているものはいません。もちろん、当事者である裁判員以外には。
 しかし、裁判員には、「守秘義務」という厚い壁があります。この守秘義務の対象には、評議の経過も含まれるものとされており、「裁判官がこのように言った」などという情報も、守秘義務の対象となってしまうのです。これでは、裁判官を批判することは不可能になるし、裁判官による誘導や押し付けがあったとしても、誰にもわからないということになってしまいます。
 裁判官は、公平で中立的な評議運営をしてくれるものと思っていましたが、どうもそうではなさそうです。