なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 医務室の様子を可視化して第三者に検証させるべき

 徳島刑務所(徳島市入田町大久、荒島喜宣所長)で阿南市内の男性収容者が死亡した問題で、刑務所は男性が心臓手術を受けて薬を服用していたことを確認していたにもかかわらず、徳島新聞社の取材に対し「既往歴や薬の服用は知らない」と、事実と異なる回答をしていたことが二十六日、明らかになった。刑務所は「隠していたわけではない」と釈明しているが、遺族は事実の隠匿と取られかねない対応に怒りの声を上げている。刑務所が男性に適切な医療を行わなかったとして、遺族は二月中旬、徳島地裁に国家賠償請求訴訟を起こす。

http://www.topics.or.jp/contents.html?m1=2&m2=&NB=CORENEWS&GI=Kennai&G=&ns=news_120139914582&v=&vm=1

 また徳島刑務所の事件です。リード部分だけ引用しましたが、記事は長いので、ぜひ本文に当たってみてください。
 要するに、刑務所は、被収容者について入所時の検査で持病があることを的確に把握していたにもかかわらず、そのわずか2日後に容態が急変して異常な行動を取るようになったこの被収容者を、漫然と放置して死なせたものです。
 そして、新聞社の取材に対してごまかすような返答をしたものです。
 これも松岡医師の怠慢治療の問題の一つと思われますが、こうした事態に対して、現行法は有効な手段を持ち合わせていません。病死や自殺など刑務所内での死亡事故については、第三者による死因や事故原因の究明を行わせるようにできないものでしょうか。そうでなければ、医師による怠慢・放置行動が誰からも問責されず、闇に葬られかねない危険があります。徳島刑務所のように、当局が医師をかばい続ける体質があるなら尚更で、異状死した受刑者について、当局が責任を認めるような会見をするはずもありません。
 真相究明は国家賠償訴訟にゆだねられるようですが、本来、訴訟のような場で解決をしなければならないということが間違っているわけです。
 是非、可視化をして検証できる態勢を整えて欲しいところです。