なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 法律を守らない刑務所とお役人の立場

 神戸刑務所(明石市)が業務委託契約を結んだ請負会社の従業員に直接、指示・命令する偽装請負をしていたとして、兵庫労働局が是正指導していたことが十日、分かった。二〇〇六年度の委託契約書で、偽装請負を容認する表現があったことも明らかになっており、刑務所側は「法の執行機関として指導を受けたのは残念。早急に改善する」としている。(中部 剛)
 関係者によると、神戸刑務所の業務については、東京都の人材派遣会社が競争入札で落札。今春から管理栄養士一人と事務・清掃約二十人の業務について委託契約を結んだ。
 委託契約では、派遣先が従業員へ直接、指揮・命令すると違法行為となるが、神戸刑務所では残業を命じるなど日常的に業務を指示。出退勤の書類にも刑務所側が認め印を押していた。超過勤務の割増賃金は別途、請負会社に支払う契約としていた。
 このほか管理栄養士に業務に関する報告書を提出させ、献立の経費負担が大きくならないように指示。請負会社に「管理栄養士をかえてくれ」と迫り、ショックを受けた栄養士の女性が出勤できなくなる騒ぎも起きていた。

http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0000766884.shtml

 刑務所側も自覚しているように、刑務所が法律を守らないのでは、しめしがつきません。
 問題の本質は、刑務所側の強引な態度にあります。公務員はそれなりの地位が保証され、矯正協会という互助団体もあり、充実した年金制度なども完備しています。それに対して、派遣労働者の地位はきわめて脆弱なのに、それを顧みず残業を指示。しかも、栄養士が考えた献立にケチをつけ、「栄養士をかえてくれ」などというのはどうしたもんでしょうか。
 先日、徳島刑務所で、松岡医師がいろんな暴虐行為をしていることが明らかになりました。医師という立場で、かつ、代わりがすぐに見つからないような人材は、「不正はなかった」などとして徹底的に庇立てをしています。それとの対比で考えると、いかにもアンバランスです。
 これがお役所の仕事だといえばそのとおりなんでしょうが、刑務所改革の第1歩は、こうした改善から始めるべきなのではないでしょうか。