なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

非常識な読売新聞の社説

 松岡農相の自殺について、各紙とも松岡さん自身の責任問題と、安倍さんの任命・慰留のありかたの問題について論じているかと思っていましたが、どうもちがうみたいです。
 読売新聞は、まず、

 安倍首相が、農水省出身の松岡氏を農相に起用したのは、農業問題に精通する力量を買ってのことだ。自由化を進める際、松岡農相なら国内の抵抗を抑えられるという判断もあったという。

 先の豪州との経済連携協定(EPA)交渉開始の合意も、農相の力があったと評価している。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070528ig90.htm

 というあたりから話を始めています。安倍さんにはまったく責任がないといいたいのでしょう。ちなみに、「評価している」などという曖昧な表現がありますが、主語は誰でしょうか。安倍さんですかね。それとも社説を書いた人でしょうか。
 そして、松岡さんは事務所費や緑資源問題で追い詰められたのではないかとしたあと、

 考えるべきは、同じ悲劇が二度と起きないよう政治は何をすべきかだろう。

 という。では、読売はどのように考えているのだろうか、と思いつつ、先を読みます。

 だが、政治とカネをめぐる問題は、何よりも、党派を超えて政治が身を正し、有権者の信頼を確保するという視点から考えるべきである。参院選を念頭に置いた政争の具などにしてはなるまい。

 今国会は、事務所費ばかりが問題になっているが、民主党角田義一参院副議長が北朝鮮と密接な関係のある団体から献金を受けていた事実は、はるかに重大だ。こうした問題の究明が、きちんとなされていないのは解せない。

 松岡農相の死をどう受け止めるか。政治が取り組むべき課題は多い。

 これで終わりです。民主党の問題と松岡さん自身の問題とはまったく別の問題だし、自らが提起した問題の答えも出さずに、松岡さんの問題よりも民主党の問題のほうが大きいとして議論をすり替えるのは、いったいどうした了見なのでしょうか。これは自民党の機関誌かと思いましたよ。この新聞には、権力をチェックして批判したり、巨額な談合事件の解明を厳しく問うという問題意識はないのでしょうか。松岡農相自殺を受けた社説の末尾が、「民主党議員の問題が重大だ」で終わっていいのでしょうか。
 終わってしまっているのは、この新聞のクオリティだと思います(w。