なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 首相の資質

 一方、事件発生直後は「真相究明を望む」と短いコメントを出すにとどめた安倍首相の姿勢に対し、野党から批判の声も上がった。社民党又市征治幹事長は「表現・政治活動の自由、選挙運動を暴力で圧殺することに対し、一国の総理としては極めて残念なコメント」と指摘。国民新党亀井久興幹事長は「暴力行為で言論を封殺することへの憤りをまず言われてしかるべきではないか」と疑問を示した。

http://www.asahi.com/politics/update/0418/TKY200704180240.html

 唯一の被爆国の総理大臣が、被爆都市の首長が銃撃されたときに出したコメントは、極めて醒めたものでした。誰かと間違えて殺されたとか、痴情のもつれとかいうものではないことは明らかであって、そこには限りなくテロに近い背景が濃厚だったわけです。そんなときに、「真相究明を」だけのコメントは、聞いていて背筋が寒くなる思いがしました。
 以前、加藤紘一さんの実家が放火されたときも、小泉さんが冷たいコメントを出して顰蹙を買ったものです。こういうとき、毅然とした態度を示せるかどうかということで、日ごろの考え方が透けて見えるというものです。安部さんや小泉さんは、こうした暴挙に対してそれほどの怒りが沸いてこないということなのでしょう。
 勘ぐってみるまでもなく、長崎市長は平和問題で国にもの申す立場にあったし、加藤さんにしても、小泉流に異を唱えていた立場にありました。だからといって、冷徹なコメントを出してよいということになるはずはないでしょう。
 安部さんも、憲法改正手続きや教育問題をご熱心にやるのであれば、同じ情熱を許しがたい暴力の根絶に注いでもよいのではないかと思いますけどね。