なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

放送法改正問題やTBSのねつ造問題について

 今日の会議の議題の一つは、政府が国会に出そうとしている放送法改正問題。総務大臣が内容に問題がある放送について、チェックや指導を強化できるという改正が企図されています。
 ところで、最近、ネット界でやり玉に挙げられているのは、主としてTBS。なるほど、先日の「痛いニュース」にも取り上げられていた「同じ人が何度も路上インタビューに出ている」というやらせ問題とか、筑紫哲也のアレとか、話題には事欠かない状況に。
 こうしたTBSの体質や政治姿勢を批判して、「免許停止を」なんてことを求める言論も、2ちゃんねるを中心として根強く見られます。
 確かにTBSには問題が多すぎます。電波免許をもらっている放送局として、もうちょっとしっかりしてもらわないと困ります。
 しかし、そのことと、番組内容に立ち入って免許停止を(政府が)して良いかどうかとは、まったく別の問題です。そうした内容面でのチェックを強化することは、ひいては、政府にとって都合の悪い報道に横やりを入れる口実を与えかねません。また、ネット界の住人は、「免許停止」がお好きなようですが、国が次にねらうのは、まさしくネット界における言論ですよ。2ちゃんねるなどは、政府から見れば匿名で無責任な発言を繰り返している諸悪の根源みたいな場所であり、まっさきに規制の対象としてやり玉に挙げられかねないところです。政府にとって都合の悪い言論を取り締まるには、放送局やインターネットは格好の草刈り場なのです。
 われわれが守らなければならないのは、2ちゃんねるや個人ブログといった草の根の言論であり、放送局の放送内容の自由も、その延長線上にあるモノとして、同様に、守るべき対象として考えるべきです。放送は取り締まって良いがネットの掲示板は守られるべき、なんて議論は、お上には絶対に通用しないことを知るべきです。
 要するに、自由な言論を守ろうとするなら、まず、マスメディアも含めて、すべての言論を対象とすべきです。TBSを自由に批判できるのも、インターネットで自由な書き込みが許されているからです。言論には言論で対抗すべきであり、TBSの暴挙を批判したければ、自由にネット界でやればよろしい。文春みたいに一緒になってTBSをたたいてくれるメディアもあるわけですし。
 「免許停止」なんて発言をするのは、それこそ思考停止の議論であり、政府が喜ぶだけの議論です。それによって何が失われるのか、そこのところをしっかりと考えてみるべきだと思います。
 免許停止などが取りざたされる社会の向こうにあるものは、すべてのブログを規制の対象としようとしている中国のような社会でしょ。
 だからこそ、われわれは、放送法の改正には断固として反対すべきだと思いますよ。