なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 受刑者の出所と就職問題

刑務所で就職活動 ハローワークとテレビ電話

 安定した仕事先を確保することで再犯防止につなげようと、山口刑務所(山口市)で16日、出所間近の受刑者を対象に、刑務所内に設置されたインターネットのテレビ電話を利用した企業説明会が開かれた。

 この就労支援策は法務省などが総合職業訓練施設に指定されている山口、山形両刑務所に試験的に導入。

 法務省保護局によると、2005年に保護観察中の出所者の再犯率は、有職者2・2%に対し、無職者は17・6%。生活基盤の安定が再犯防止に不可欠という。

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 若くして刑務所に入ったひとは、出てからもやり直しが十分可能です。
 たとえば、親元に帰ることもできるだろうし、若い人には求人もそれなりにあるから。
 ところが、高齢の受刑者の場合、出ても行き場のない人が多いです。親はとっくに亡くなっていて、兄弟からは煙たがられている。高齢だと就職もない。しかも、出所時の所持金(刑務所内の労働によって得たお金)は数万円程度。
 これだと、せいぜい1週間くらい生活できればいいほう。その間に、住むところや仕事を見つけるなんて、宝くじにあたるくらいの確率かと。
 そのため、出たらすぐに犯罪を犯して生計を立てるとか、あるいは刑務所に戻るしか術がなく、なかば捕まることを覚悟で罪を犯すとか、そんな人の割合が多くなります。
 この記事にあるような再就職支援の取り組みを、もっと多くの刑務所で行う必要があるのではないかと思います。
 本気で社会から犯罪をなくそうと思うなら、われわれが安心して生活できる環境を作ろうと思うなら、発想を転換する必要があります。治安をよくするために警察官を増やすのではなく、犯罪を予防するために、こうした出所者の「再チャレンジ」を支援していく必要があります。
 安部さんは、「再チャレンジ」が好きなようですが、ならばこうした地味な「再チャレンジ」の取り組みも強化してほしいと思います。