なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 警察の取り調べの実態、そして裁判所のあり方について

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070126-00000006-yom-soci

 富山県警が2002年、同県氷見市の男性(39)を婦女暴行容疑などで誤認逮捕した冤罪(えんざい)事件で、男性が読売新聞の取材に、無実の罪を自白するに至った経緯を初めて語った。

 男性によると、取り調べは、任意同行を求められた02年4月8日から始まり、「『身内の者が間違いないと言っている』と何度も告げられ、やっていないと言っても信用されるわけがないと思った。言われるままに認めざるを得ない状況だった」と話した。その上で、「身内までも僕のことを信用していないんだと思った。気が抜けたようになってしまった」と語った。男性は3回目の聴取で自白に追い込まれた。

 さらに、「『うん』か『はい』以外に言うな。『いいえ』という言葉を使うなと言われた」とし、「今からいう言葉を一切覆しません」とする念書も書かされ、署名、指印させられたとも語った。被害者宅に押し入った手口も「酒屋を装って電話をかけたんじゃないかと言われ、同意させられた」とした。

 みなさんに分かってほしいのは、こういうケースは決して稀ではないということです。念書まで取られていては、たとえ裁判でいくら「自白を強要された」と訴えても、裁判所は認めてくれないでしょう。この男性が、裁判で一切争うことをせず、さっさと服役することを選んだのは、ある意味で、たいへん賢明だったかもしれません。なぜなら、公判で否認して争ったなら、裁判だけで1年くらいは平気でかかってしまうし、その間、保釈も認められる可能性もまったくないからです。
 裁判所も、これを単なる捜査機関の問題だと思うのではなく、自分たちの裁判のあり方が問われているのだということに、きちんと思いをいたしても欲しいものです。