なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

フォーマットを決める力

使える読書 (朝日新書)

使える読書 (朝日新書)

 齋藤孝の「使える読書」。「声に出して読みたい日本語」でブレイクした人だけに、この本の中には、いろいろとノウハウや著者の思い入れが詰まっています。
 著者は、最近のブログブームで、いろんな人が自己のブログで本の紹介をしていることに触れ、漠然とした好き嫌いでつらつらと書きつらねても、いいたいことは十分に伝わらず、ただの感想文にしかすぎなくなってしまうと警告しています。「書くために読む」という姿勢で、フォーマットを決め、自分のスタイル(型)にはめてブログに紹介することを勧めています。
 著者は、この本で、51冊の本を読み、それぞれについて、「○○力」というような、その本を貫く概念を提示し、「声に出して読みたい一文」を紹介しています。たとえば、伊坂幸太郎の「陽気なギャング」シリーズについては、「格言力」という概念を提示しています。伊坂幸太郎の本を読んだことのある人なら、思わずうなづいてしまう指摘なのではないでしょうか。そういわれれば、伊坂幸太郎の作品の比喩的言い回しはなかなかユニークで小説を読む楽しみにあふれています。それを「格言力」の一言で言い表すというのも、なかなか気が利いた指摘といわざるを得ません。
 ちなみに、この「使える読書」で「声に出して読みたい一文」はこのあたりでしょうか。

本1冊からキーワードひとつ、いただいてしまう。ちょっとした怪盗感覚かもしれない。それがたったひとつ盗めれば、その本の役割は果たしたと考える。それが本と人とのいい出会いだと思います。

 ちょっと長すぎました。