なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 <刑務所>過剰収容解消へ「社会奉仕」導入 法制審に諮問

 ニュースの内容はリンク先に飛んでいただくとして、ここでは、諮問された内容について、σ(^^)の立場を明らかにしておきます。

 社会奉仕命令は、交通事故など比較的軽い罪に問われた被告で更生意欲がある者に、懲役や禁固の代わりに清掃作業などを義務付けたり、罰金を払えない人を労役場に留置せずに社会奉仕させたりすることが検討される。

 賛成。今は、交通違反が重なると、6ヶ月程度、懲役の執行を受けなければならなくなる。もちろん、自業自得だが、人によっては、そのために失業してしまったり、老親の面倒を見るものがいなくなったりして、とても困ることがある。上記の制度は、そうした場合における一つの救いになりうる。

判決確定前の被告を早期に保釈する一方で、自宅に居住させて行動を制限する「自宅拘禁制度」

 絶対反対。現状でも、保釈された被告人にはほぼ同様の制限がある。要するに、無断で外泊などができなかったり、関係者との接触が禁止されたりしている。「自宅拘禁」というのは、それよりもなお自由の制約が強く、現状より悪い制度でしかない。ただし、保釈金制度を廃止するなら検討されても良い。現状では、窃盗などの軽微な罪でも、「保釈金の用意ができないから保釈申請すらできない」というケースが多い。保釈金なしに保釈するという運用ができるなら、その代わりに自宅拘禁を受け入れる余地はある。

刑務所外に特定施設(中間刑務所)を設けて受刑者を居住させ、一定の自由を認めながら保護観察よりも厳しく監視する「中間処遇制度」

 賛成。現状の刑務所処遇はひどすぎるし、しかも、満期になれば放り出されてフォローが期待できない。そうであれば、こうした中間刑務所をつくって徐々に社会に適合させていく方法が検討されて良い。

刑期を満了して出所した性犯罪者や薬物犯罪者に治療や教育を受けさせるなど、再犯防止や社会復帰を支援する制度を設けることも議論される。

 反対。「刑期を満了した」のであれば、満了後に治療や教育を受けさせる理由はない。こうしたことは、満期前に刑務所内(あるいは上記の中間刑務所)できちんと行うべきである。
 記事の末尾にも議論に時間がかかりそう、とあるけど、これも構造改革の一種ですよ。道路公団民営化のような、結局、なにがどうなかったかわからないような中途半端な制度改革より、こうした改革のほうがよほど国の将来に関わる重要事項だと思いますね。きちんとした議論をして、少しずつでも改善していってほしいです。