なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

仮出所者の雇用企業に奨励金支給、再犯防止狙う

 政府は、刑務所を出所した仮出所者、少年院仮退院者など保護観察対象者の就労を促進するため、4月から、仮出所者らを雇用した企業に奨励金を支給することを決めた。
 職を見つけるのが難しい仮出所者らを雇用する企業を増やし、再犯防止につなげるのが狙いだ。
 奨励金は1人につき、1か月5万円で、最大3か月計15万円を支給する。
(中略)
 法務省によると、03年に保護観察期間中に再犯を犯したのは、有職者が3万8041人中2900人(7・6%)であるのに対し、無職者は1万1858人中4707人(39・7%)と、再犯率有職者の約5倍にのぼる。
 法務省は全国で建設業を中心に約5700の企業を「協力雇用主」に指定し、保護観察対象者の雇用を呼びかけているが、雇用主への財政支援はしていなかった。被雇用者は600人程度(05年4月時点)にとどまっている。

やっと政府も取り組みを始めたようです。再出発をしようとする出所者にとっては、住むところと仕事が確保されないと、この統計が示すとおり、やり直しは簡単ではありません。刑務所の労働は強制だし、まじめに働いても月に数千円の賞与金にしかならないことがほとんど。なので、彼らは、労働意欲も減退気味だし、生活の青写真が作れないまま出所することも少なくないのです。出所時から、働くこととそれによる収入で生計を立てていくことをきちんと身につけさせないと、結局また刑務所に戻ってきかねません。
こういう施策は、一見すれば受刑者を甘やかしているように見えますが、実は再犯防止という社会防衛的な側面があることも理解してほしいですね。