なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

小学生殺人事件の犯人は本当にペルー人か?

 弁護士の職業病でしょうか。こういうニュースに接すると、東電OL殺人事件のネパール人の被告人のことを思い出します。彼は1審無罪、2審有罪となり、最高裁で有罪が確定しました。それについては、今でも冤罪ではないかという説は根強く残っています。

神様、わたしやってない!―ゴビンダさん冤罪事件 (GENJINブックレット (23))

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 今回、小学生殺人事件の犯人として捕まったペルー人も、犯行を否認しています。物証らしい物証といえば、段ボール箱。彼が段ボール箱を所持していた事実は明らかです。ですが、彼は、段ボール箱について、「事件当日、ごみ捨て場に捨てた」と供述しています。誰かが拾って利用した可能性は皆無なのでしょうか。ほかには、当日、チョコレートを食べながら小学生をみていたとか、自宅前で小学生の女の子と話をしているのを見たとかいう目撃証言があるだけです。
 万一、ほかに真犯人がいて、どこかでほくそえんでいるのだとすれば、第2、第3の事件が起きないとも限りません。もちろん、冤罪であればこのペルー人にとってもたいへんなことです。
 そうならないように、警察に対しては、今後、科学的な物証の裏付けをしっかりとるよう求めたいと思います。くれぐれも、日本語の不自由な容疑者に自白を迫り、自白にだけ頼ろうとする捜査をしないようにしてほしいです。
 そういう意味で、捜査はまだ始まったばかりといえそうです。警察は「これで安心」というような雰囲気でいるようですが、気を抜かずに証拠固めをしてもらいたい。ほかにも真犯人がいる可能性がゼロではないということも忘れずに。