なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

支局長からの手紙:人権救済条例の是正を /鳥取

毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051017-00000170-mailo-l31

条例では行政機関は「犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある」と、その機関のトップが判断したら、調査への協力を拒否できることになっています。事実上、警察、検察、刑務所、拘置所などが調査の対象になりません。このような行政機関の調査拒否を認める条文は人権擁護法案にはなく、「官に甘く、民に厳しい条例」と言われてもやむを得ないでしょう。

 ごく普通の人と話をしていると、「人権救済条例」なんだから歓迎すべきではないか、という反応を示されます。ですが、この条例は、定義が極めてあいまいで、表現の自由はもちろん、他のありとあらゆるトラブルが、この条例の対象となることになります。たとえば、政治家の言論をネットで批判すれば人権侵害、隣人と口論しても人権侵害、お店の防犯ビデオも人権侵害、こうした訴えが可能になります。そして、馬鹿馬鹿しいと思って調査に協力しなかったら過料の制裁。もうちょっときめ細かい条文はできなかったのかね。
 それに、上記引用箇所のような、民間人狙い撃ちのような内容。これでは行政による人権侵害などは訴えても意味がありません。長の判断だけで拒否できるのですから。
 鳥取県弁護士会はこの条例に強く反対する会長声明を出していますが、当然の対応です。片山知事は、一方では評判の高い知事だっただけに、こうした暴走に手を貸すような対応をしているのは残念です。