なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

国選の被告人から私選弁護人になることを求められた場合

 これもときどき経験しますね。国選だと費用が安い(8万円くらい)ので、弁護人も十分な活動をしてくれないのでは、という思いが被告人側にもあるようです。「費用を払いますから、私選に代えてくれませんか」などといわれることがあります。被告人によっては、私選のほうが裁判所に対するアピールにもなると思っているようです。
 そんなとき、国選弁護人としてはどうするか。私の方針は、「そのまま国選でやる」です。国選も私選も、やることは同じです。私選だから一所懸命に弁護活動をして、国選だと費用が安いから手を抜くということはあってはならないことです。したがって、そういうふうに説明をして、そのまま国選弁護人として活動します。被告人が、どうしても私選でないとイヤだとかいうのであれば、別の弁護士を私選弁護人に選任するように言いますね。
 人によっては、被告人の希望なら私選弁護人になるという人もいます。あるいは弁護士過疎地域などでは、他の弁護士に頼むこと自体が難しいというケースもあります。ですが、国選から私選にきりかえちゃうと、どうしても「金」が絡んできます。金を貰ったから一所懸命にやっている、というのは、やはり国選弁護の質の低下を招くことになりかねません。「金があるなら最初から私選弁護人をつけろよ」とは思いますが、いったん国選弁護人に選任されてしまったら、そのまま国選弁護人としてベストを尽くすのが良いかと思っています。