なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

刑事弁護交流会

 日弁連主催の行事ですが、なかなか盛況。
 今回のテーマは取り調べの可視化。
 刑事事件の取り調べって、どのようにやっているかご存じですか?
 多くの人はテレビの刑事ドラマでしか見たことがないのでないでしょうか。文字どおり密室でやるわけですから、被疑者になった経験でもないと実際のところは分からないのではないでしょうか。
 それで、取り調べの過程で、自分の言い分を捜査官が聞いてくれなかったとか、捜査官から脅されたり暴力を受けたりして、虚偽の自白をしてしまったなどという問題が生じてきます。そんなとき、捜査の過程をビデオに録画しておいたり、テープに録音しておいたりすれば、あとから検証することは簡単です。捜査官も、こういった証拠があれば、あらぬ疑いをかけられることもないわけで、コストの問題を度外視すれば、ベストな方法ではないかと思うわけです。なのに、なぜか検察や警察はこの制度の導入に反対なんですね。そして、その根拠が、「取り調べとは捜査官が全人格的に被疑者を説得する作業だ」などというんですよね。立派な人格をお持ちであれば、捜査過程が白日の元にさらされたとしても、恥じるところはないんじゃないでしょうか? むしろ、捜査官に対する尊敬の念が高まること必至ですよ。
 とくに暗示や誘導を受けやすい子供や障害者などが目撃者や被疑者になってしまったときには、こういう可視化の問題がクローズアップされてくることになります。
 せっかくの司法制度改革ですから、裁判員制度だけではなく、こういった側面にも光をあてて欲しいものです。