なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

NHK対朝日新聞

 もばちきさんからのコメントを受けて、自分なりに頭を整理してみました。
 ことの発端は、従軍慰安婦関係の番組を巡って、NHKに政治家から圧力があって番組を改編した、と朝日新聞が報道したことです。したがって、朝日新聞としては、そのような報道を行った以上、「NHKに政治家から圧力があって番組を改編した」事実そのものがあることを立証するか、そのものの立証まではできないにしても、それが真実であると信じたことに相当の理由があること、を立証しなければなりません。
 そして、「真実であると信じた」根拠としては、プロデューサーの証言と、NHK幹部、安倍・中川への取材などがあげられるのでしょう。要するに、プロデューサーの証言のウラがどこまでとれたか、ということが焦点になります。そうなると、やはり、反面取材といいますか、とくにNHK幹部がどう取材に答えたか、というのが大きなポイントになってきます。
 ところで、このようなトラブルはこれまでもよくあった話で、いままでも、とくに政治報道をめぐる局面で、取材と違うことを書かれたなどというトラブルはあとを絶たなかったわけです。週刊誌などはえげつない報道をしますから、それを巡って、上記のようなトラブルもあったと思います。ただ、ある人がいったん取材に対してしゃべったことを、後日、「おれはそんなことはいっていない」と開き直るケースもままあると思われますので、今回のNHK幹部の「取材と違うことを書かれた」という発言がどこまで本当なのかは、疑問の余地がないではないと思われます。
 それはともかく、このような場合、取材テープを聞き直せば、ことの真相は明らかになるでしょう。最近は、ICレコーダなんてものもありますから、こっそり録音している可能性も十分ある(というかそうに違いない?)ので、それを公開すれば白黒がはっきりするはずです。では、テープが存在するとして、それを公開するのでしょうか。前も書いたとおり、このようなことが前例となると、トラブルがあった場合にはテープを公開すべき、なんて風潮が出来上がってしまう場合があります。そうなると、長いインタビューのうち、一部だけを切り貼りして都合のよい記事を作り上げることが得意なマスコミ諸氏は、たちまち窮地に立たされてしまいます。そういうわけで、朝日新聞は(というかほとんどのマスコミは)、テープの公開に簡単には応じないはずです。
 どうもNHKもそのあたりの事情がよく分かっていて、あえてテープを出せなどといっているようにも見えます。私には、どうしてNHKがここまで必死になるのか、よく分かりません。これまででも、東郷健政見放送でホモ王国呼ばわりされたり、あることないこと、たくさん報道されてきたと思います。本件だけ、このように必死になって対抗しようとするのは、告発したのが現役プロデューサーだったためか、あるいは政治家がらみの案件だからか、どちらかなのでしょう。朝日新聞だって、過去いくつもの捏造・誤報のたぐいをやってきたわけですから、NHKも、そういうものだと大人の対応をすればよいと思うのですが。それができない事情があるのではないかと思ってしまいます。ニュース原稿を読まされる畠山アナが気の毒に思えます。
 なんかまとめるつもりがまとまらなくなってきましたので、とりあえずこの辺で。