なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

税務訴訟

 今晩、家に持って帰ってシコシコ作っているのは、税務訴訟の書面です。要するに、税務署が依頼人のところに押しかけ、ごっそり税金を持って行ってしまったという事件です。もちろん、税務署は、依頼人経理をきちんとしていなかったと主張し、当方は、それは税務署の誤解だと主張しています。
 税金の訴訟は、一般的にほとんど納税者に勝ち目はなく、弁護士も受けるのを嫌がります。税務署に目をつけられたくない、という弱みがあるせいでしょうか(^^;)。
 ですが、小職は、税金(というか行政訴訟全般)は、刑事事件と並んで最も弁護士らしい仕事の一つだと思います。考えてみてください。堂々とお上のやることにクレームをつけ、裁判という土俵で喧嘩をするわけです。こういう、権力を敵に回して戦うというのは、弁護士冥利につきると思うのです。弁護士は国家からのコントロールを受けない、ほとんど唯一の職業です。医師も、税理士も、裁判官も資格に基づいて行う仕事のほとんどは、大なり小なり、国からの圧力を受ける立場にあります。弁護士は、弁護士自治というものを持っていますので、自分の属する弁護士会から除名や退会の処分を受けない限り、資格を失うことはありません。それは、権力に臆することなく戦うことができるようにするためだといわれています。
 勝ち目の少ない戦いでも、国家権力に間違いがあると思うなら、正々堂々と戦って散りたいものです。