なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 神戸刑務所が発信止める 11日間、受刑者連名の信書(共同通信)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041113-00000054-kyodo-soci

 神戸刑務所(兵庫県明石市)で8月下旬、受刑者7人が、看守が別の受刑者に暴行するのを見たとして、兵庫県弁護士会への人権救済申立書など信書4通を連名で署名して出そうとしたところ、刑務所側が11日間、発信を止めていたことが13日分かった。
 同刑務所は「連名での発信は前例がなく、7人の間で署名を強制していないかなどを調査するのに時間がかかった。意図的に遅らせたのではない」と説明している。
 同刑務所によると、申立書などには、8月27日に同刑務所の養護工場で、7人と同室の男性受刑者が男性看守から暴行を受けた、と記されているという。7人は同月30日、親族以外に手紙を出す「特別発信」で、申立書や明石署への告発状、法相あての苦情書など計4通を提出した。

 弁護士会への人権救済申立というのは、受刑者にとってはほとんど唯一の、外部へ訴えることのできる制度です。上の記事にあるように、警察・検察庁への告発、法務大臣宛の情願などの手段もありますが、これらはいわば「身内」への申立ですから、あまり効果はないのが実情でしょう。それに対して、弁護士会のほうは、ある程度、刑務所などに厳しい意見を出してきた実績もありますから、受刑者にとっては、頼りになる制度と思われているところもあるようです。
 それはそうと、本件のポイントは2つあります。
 一つは、連名での目撃情報、告発情報であったこと。一般的に、救済申立というのは、被害者本人が「ひどい目に遭った」といって行うものです。今回は、目撃情報であっただけに、その真否が問題となります。われわれの感覚からいえば、わざわざでっち上げをすることはないと思いますので、それだけ刑務所が暴行の事実を隠そうとしたのではないかという推測をしてしまいます。
 二つ目は、神戸刑務所というのは、先に公金流用問題が露顕した(id:narushisu:20041020#p4)ところであるということです。腐敗しきった所長がいた刑務所であって、同じような腐敗の土壌があったということなのでしょうか。
 兵庫県弁護士会の対応が気になるところです。