なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 名言

 「国家の価値は、その国における最低レベルのひとたちを、国がどのように処遇しているかによって決まる」というような趣旨のことを言ったのは誰でしたっけ? 
 そして、その正確な言葉は?
 南アフリカ共和国マンデラさんかと思いましたが、どうも違うような・・。
 それはともかく、いい言葉だと思います。いくらトップ(たとえば一部の政治家、財界人など)が裕福でゆとりのある生活をしていても、国民の多くが中流意識を持っていたとしても、一握りの貧しい人、恵まれない人などが粗末に扱われ、あるいは人としての尊厳を持った扱いをされないような社会では、結局、誇りをもてるような国とはいえないような気がします。
 小職が刑務所問題に、ある意味、興味を持ち続けているのも、そういう社会に適合できないひとたちをどう扱うか、というのはすぐれて国家的プロジェクトのはずであって、それが国家のレベルをはかるバロメータになるのではないかと思うからです。受刑者は、社会で他人の尊厳を踏みにじり、それが故に収容されているひとたちです。彼らが再び犯罪を犯さないようにするためには、まず、刑務所設置者が、かれらの人格を尊重してやり、人格を尊重するとはどういうことかを身をもって教えてやるしかないと思うのです。非人間的な扱いを受けた受刑者が、社会に戻り、他人の人格を尊重して生きることが可能でしょうか。単にやさぐれてしまい、また、何かのきっかけで犯罪に逆戻りするだけになってしまうのではないでしょうか。
 戦時での刑務所を同じ視点で見るのも不適当かもしれませんが、イラクの刑務所で米軍が行った扱いを考えてみてください。収容されたイラク人(あるいはイラク人全般)が、米軍や米国人を尊敬できるでしょうか。停戦の呼びかけに応じるでしょうか。憎しみの連鎖を断ち切るには、どこかで人と人が争うことの不毛さに気づくことが必要だと思います。