なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 山形・明倫中マット死訴訟で原告勝訴、一審判決取り消し(

朝日新聞
http://www.asahi.com/national/update/0528/013.html

 成人の刑事裁判にあたる少年審判が、元生徒のうち3人の事件への関与を認めて94年3月に確定する一方、民事では02年3月、一審判決が全員の関与を否定して原告側の請求を棄却した。刑事と民事の司法判断がねじれる中で注目された仙台高裁判決は、少年審判と同様に、元生徒らは「有罪」との立場に立った。

 民事事件と刑事事件で、事実の認定が分かれることがときどきあります。刑事事件では「疑わしきは被告人の利益に」という鉄則があり、検察官(少年事件の場合には検察官がいないときもある)は重い証明責任を負わされますが、民事事件では、「証拠の優越」の理論があり、60対40とかの判定でもよいからです。
 この事件を素材に、「客観的事実」と呼ばれるものが何で、それがどのようにして「真実」とかけ離れたものになっていくのかを、多面的に分析した著作として、北澤毅・片桐隆嗣「少年犯罪の社会的構築〜「山形マット死事件」迷宮の構図」(東洋館出版社、2002年)があります。関心のあるかたに是非一読を勧めます。小職も、この判決を機に、もう一度読み返してみようと思います。少年犯罪の社会的構築―「山形マット死事件」迷宮の構図