なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 小泉訪朝に期待する

 22日に小泉首相が訪朝します。拉致被害者の帰国問題に、何らかの前進があることが期待されています。しかし、蓮池さんなど、すでに帰国している家族の問題と、横田さんをはじめとする、北朝鮮が「死亡」と発表済みの被害者の問題とは、分けて考えるべきだと思います。
 家族会や一部の報道などでは、前者の解決だけでは不十分であり、小泉は後者の問題にもきっちりかたをつける必要がある→したがって、安易な妥協や見込みのない訪朝はすべきでないという議論もあります。しかし、ひとりでも被害者あるいはその家族が帰ってくる可能性があるならば、訪朝して交渉する意義は十分にあるのではないかと思います。全部の問題がワンセットで解決できるはずはないのですから、できる範囲で実績を積み重ねていくほかはないのではないでしょうか。もちろん、一部のひとたちの帰国があった段階で、この問題の幕を引いてはならないことは当然ですし、見返りに安易に北朝鮮に利益を与えるようなこともあってはならないでしょう。
 そもそも思い返しておきたいのは、1昨年の小泉電撃訪朝がなければ、おそらく今も、ひとりの被害者の帰国もなかったはずだ、ということです。今回の訪朝によって、さらなる進展が図れそうだと首相が判断するのであれば、積極的に訪朝して交渉することを期待したいと思います。小泉首相の政策は多くの点で不満が残るものばかりですが、この北朝鮮問題だけは、戦後の政治史に特筆すべき功績として記されるほどのものだと思います。