なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 受刑者、投げ込ませた携帯で家族らに電話…福島刑務所(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040406-00000203-yom-soci

 同刑務所によると、携帯電話を投げ入れたのは、受刑者たちと所内で知り合いになった元受刑者。服役中の受刑者が、面会に来た知人を通じて元受刑者に携帯電話を投げ入れるよう頼んだ。携帯電話は充電器ともに粘着テープで巻かれ、昨年10月上旬、刑務所の塀越しに投げ込まれた。
 受刑者は、運動の時間にこの携帯電話を拾い、トイレなどに隠れて使っていたとみられ、通話記録から相手は家族や知人だったという。

「充電器とともに」って、刑務所内でこっそり充電までしていたんでしょうか。突然電話がかかってきたほうもびっくりしたでしょうね。
と、一見すれば、ただの「とんでもない話」ですが、実は、刑務所に電話がないというのは、国際的にはきわめて遅れています。韓国の刑務所にも、中国にも電話はあります。受刑者といえども、そのあたりの自由は認められているのです。内容については、刑務所の職員がモニターしている可能性もありますが、少なくとも、家族などの声が聞けるというのは、受刑者にとっても精神衛生上プラスになるものと思われます。
前にもちょっとだけ書きましたが、刑務所の究極の目的は、受刑者をまっとうな人間にして社会に戻し、犯罪のない社会を作るというところにもあるのです。そうであれば、受刑者を完全に社会から隔離・孤立させ、外界との接触を遮断するというのは、決して理想的なやり方ではありません。死刑確定者や無期懲役者ならともかく、有期の受刑者は、いつかは社会に戻らなくてはなりません。そのとき、外界の状態は全くわからない、肉親はどこで何をしているのか、行ってみないとわからないというのでは、社会内で立ち直れというのはなかなか難しいのではないでしょうか。