なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 天安門事件の真実

天安門事件について、「天安門広場内では一人の負傷者も出ていない」とする町山智浩さんの日記(http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20040313)をめぐり、議論が起きているようです。
町山さんの主張は、天安門広場内では負傷者は出ておらず、多くの人がこの点について誤った認識を持っているが、これは、当時、今枝というカメラマンが、そのように誘導するようなコメントをつけて写真を公表し、マスコミがこれに飛びついたからである、というものです。そのこと自体は、大変にユニークな指摘であり、おそらく、町山さんの指摘は正鵠を得ているのだと思います。
しかし、他方で、天安門事件全体では、319人が死亡したことが中国政府によって発表されているのですが、そのことが、町山さんの日記内で言及されていない(広場の外で死亡者がでたことは指摘しておられます)ことは、アンバランスな感じは否めません。
それはともかく、天安門事件といえば、1989年の事件であって、すでに15年が経過しています。そのときの話を、なぜ今、改めて指摘しなければならないのか、そのねらいは何なのかがよく分からないので、どうしても唐突な感じがします。また、そのような唐突さやアンバランスさだけでなく、日記中に「奇妙な今枝擁護記事を書いたのはたしか勝谷ナントカとか言う男だった」などという別の個人批判が登場したりするので、著者がこの文章で指摘したいことの狙いが分からなくなってきます。
小職としては、町山さんがいいたいことは、天安門事件の真実そのものよりも、単なる個人に対する批判のほうにあるんじゃないかと受けとめています。