なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

岡口裁判官のblog

http://d.hatena.ne.jp/okaguchik/
岡口さんは、若手の裁判官でありながら、積極的にweb上で発言をされ、あるいはわれわれ法曹にとって便利なソフトを作って公表されるなど、一昔前の裁判官像とは全く異なるタイプの方です。はてなにblogを設置し、しかも本名で堂々と活動を重ねられている点など、当職の気弱な姿勢からは比べようもない立派な態度と尊敬しています。
ですが、氏の裁判員制度導入に関するニュースの紹介には、やはりなんらかの意図を感じずにはおれません。たとえば、2月28日の紹介記事のまとめ方には、裁判員制度導入についての裁判所の危機感を如実に感じますし、同26日のように、裁判員制度導入に否定的な動きを積極的に紹介していく姿勢などには、氏の仄かな熱意を感じざるを得ないのです。
もとより、裁判官が、素人が裁判に加わろうとすることについて、ある種の抵抗を感じることはやむを得ないとも思います。しかし、裁判員制度についての肯定的な見方やメリットなどにはそれほど言及せず、上記のように問題点について言及した記事のみを多く紹介したり、あるいは「『アメリカで陪審員になるのは、ほかにすることがない人や社会的地位の低い人』だそうです。」などと、挑戦的な内容の記事を無コメントで紹介したりする態度は感心しません。無コメントで紹介するというのは、一見、それについて賛否を明らかにしない中立的態度に見えますが、そのような記事ばかりを紹介し続けている傾向からすれば、やはり氏もそのようなものの見方に賛同しているのではないかと感じざるを得ないのです。
多くの裁判官が、裁判員制度に反対であることは、裁判官と話してみればわかることです。岡口さんも、裁判員制度の導入に反対なら反対だと、はっきりお書きになったらどうでしょうか。そのうえで、自らが紹介された各記事について、自分がどのような意見を持っておられるのか、一言でもコメントなさってみてはどうでしょうか。そうすれば、同ブログのコメント欄で、「裁判所外の人間を社会的地位が低いと揶揄」しているのではないか、などという誤解に基づいた見方をされずに済むと思うのですが。

(追記)H16/3/1
上記日記をアップしたのち、岡口さんの上記ページが更新され、小職が言及した箇所についても、岡口さんのコメントが掲載されるに至りました。小職としては、

  • 上記コメントにより、小職が持っていた疑問の多くが解消したこと
  • 岡口さんが、小職が言及した記事の紹介などを削除され、あるいは不適切な発言がなされていたコメント欄を大幅に削除されるなどしたため、小職の上記日記は、少なくとも現時点(3月1日午前8時)の段階では、初めて見る人にとっては意味不明なものになってしまっていること
  • 小職の岡口さんに対する提案は、現職の裁判官である岡口さんに、著しい困難を強いるものであったこと

などの理由から、小職の上記日記の該当部分を削除あるいは大幅に改変することを検討しました。しかし、小職としても、いったん小職の日記を公表し、他人の目に触れさせたという責任があると感じていますので、あえてこの文章はそのまま残しておくことにしたいと考えています。