「10倍アップ」シリーズの最新刊
効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法
- 作者: 勝間和代
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2007/12/14
- メディア: 単行本
- 購入: 24人 クリック: 922回
- この商品を含むブログ (697件) を見る
各地のblogで続々と感想などがアップされ、アルファブロガーなどと称される人たちの賞賛と、amazonコメントに代表されるマイナス評価とが、相半ばする展開になってきています。
確かに、年収や効率が「10倍」になるというのはいささかこじつけっぽい話だし、批判する人の感覚も分からないではない。マッキンゼーでのノウハウというのも、門外漢にはよく分からないところがあります。
でも、勝間本の神髄は、著者の体験に裏打ちされた、記述の具体性にあると思います。パナのレッツノートやmio C325を推奨したり、5000円以下の本なら迷わずに買え、などという具体的なアドバイスは、誰にでも実践が可能です。決して、スーパーウーマンが常人に無理難題を押しつけている、というものではありません。
そして、もう一つ面白いところは、著者が開陳するノウハウはまさにその具体的方法論でストップしていて、その一線を越えないでいる、というところです。これが普通の自己啓発本なら、「成功とは何か」、「価値観とは」みたいな精神論が延々と続いたり、ややもすれば宗教チック、スピリチュアルチックになっていくところですが、著者はそうした領域についてはなにも語りません。著者が推奨するノウハウは、われわれが山を登るときに身につけるべき最低限のノウハウであり装備品に過ぎないのです。それらを身につけたうえ、われわれはどの山を目指すべきなのか、道中で道に迷ったときはどうすべきなのか、それは読者が自分の頭で考えて行動すべき領域なのです。だって、登るべき山は、人それぞれの環境や立場、仕事や役割によって様々なものなのだから。
そう考えると、この10倍シリーズも、いわゆるGTDやライフハック系の書籍に通じるところが大きいです。この本をどのように自分の生活やビジネスに活かしていくのか、この本の価値は、読者がどこまでそれを実践していくかにかかっているのではないでしょうか。そういう意味では、一見、手取り足取りで具体的方法論にあふれた内容ではあるけれども、それを生かすか殺すかの鍵は、読者の読後の行動にかかっているのでしょう。
ということで、自分としては、この3部作、なかなかオススメのシリーズだと思いますよ。