なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 徳島刑務所事件の背景を刑事事件でも明らかにすべき

徳島刑務所の受刑者が刑務官にけがを負わせた昨年十一月の集団暴行事件で、公務執行妨害と傷害罪に問われた受刑者十七被告のうち二被告の初公判が十一日、徳島地裁(畑山靖裁判官)であった。検察側は、刑務所の医務課長(42)への不満を他の受刑者にも増大させていた暴力団幹部の受刑者の処遇に対し、憤った首謀者とみられる受刑者が暴動を企てた、と指摘した。事件に関する公判は初めて。
(中略)
冒頭陳述では、直腸指診などの医療行為をめぐり、医務課長が受刑者らから刑事告訴・告発されている医療問題と事件との因果関係については、明らかにされなかった。

http://www.topics.or.jp/contents.html?m1=2&m2=&NB=CORENEWS&GI=Kennai&G=&ns=news_120796692235&v=&vm=1

 徳島新聞さん、日本語が少しおかしいですよ。とくに第2文「刑務所の医務課長(42)への不満を他の受刑者にも増大させていた暴力団幹部の受刑者」って?
 医務課長への不満は、暴力団幹部の受刑者だけでなく、他の多くの受刑者が抱いていたことです。それがこのたびの医務課長に対する大量の告訴・告発になっているわけで、暴力団幹部が他の受刑者をあおったかのような書きぶりはややミスリードの嫌いがあります。
 それはともかく、検察庁としては、本件は、単なる受刑者の集団暴力事件として処理したいところで、その原因が医務課長自身にあるということには、何が何でも蓋をしておきたいところなのでしょう。だから、冒頭陳述でも何も触れず、これらをスルーして早く裁判を終わらせたいのでしょう。
 こうなったら、弁護側のほうで、事件の背景に迫り、徳島刑務所の特殊事情を強くアピールしてもらいたいところです。実際、そうした背景が明らかにされてこそ、適切な量刑判断ができるというべきです。